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@wing_tail の mtg

まったく、リミテッドは最高だぜ!!

リミテッドをはじめからていねいに――勝利に繋がるドローの巻

MTG一般

前回の、リミテッドをはじめからていねいに!

limitedder.hatenablog.com

「Magic: The Gathering」のゲームに勝つ秘訣とは、擬似的な《Time Walk》を対戦相手よりも多く唱えること。

 

君のアクションは《Time Walk》になってるかい?

 


μ’sもいいけどAqoursもね!

 

というわけで、簡単に前回のポイントを振り返っておきましょう。
お互いに《山/Mountain》だけからなるデッキを使っていて、お互いの場にゲーム開始時から《ゴブリンの突撃/Goblin Assault》が設置されているゲームを想像してみてください。
この「ゴブリンの突撃ゲーム」に勝つのは、いつも先攻のプレイヤーになります。なぜなら互いのプレイヤーは《山/Mountain》しかドローもプレイもせず、同じだけのゴブリン・クリーチャー・トークンが毎ターン増え、それらは攻撃にしか向かわないので、先攻のプレイヤーは丸々1ターン後攻のプレイヤーに先んじ続けるからです。
しかし、「ゴブリンの突撃ゲーム」を少しだけアレンジすることで、片方のプレイヤーを先後に関係なく必ず勝たせることができます。
たとえば、片方のプレイヤーが1ターン目に必ず《発明者の見習い/Inventor’s Apprentice》をプレイするようアレンジすると、そのプレイヤーは必ず勝ちます。これは《発明者の見習い/Inventor’s Apprentice》がブロッカーに立つことで、対戦相手の場をターン終了時に見たとき1ターン前と殆ど同じ(《山/Mountain》の並ぶ数だけが増える)状態へ追い込むことができるからです。
つまり、《発明者の見習い/Inventor’s Apprentice》のプレイというアクションが、《Time Walk》を毎ターン唱えるに等しい状況を擬似的に作り出したことになります。
このように自分のアクションを擬似的な《Time Walk》に仕立て上げること、さらに言えば自分のアクションが《Time Walk》何枚分に相当しているかを考え、その枚数を増やしていく工夫こそ、勝利を目的とするマジックの黄金律です。

 

そうは言っても全てのアクションを《Time Walk》で数えるなんて無茶じゃないか?
いえいえ、そんなことはありません。全てのアクションは確かに擬似的な《Time Walk》なのです。
というわけで、今回のメインテーマになります。

 

マジックにおいて、ターンとは何を表すのか?

 

具体的に言えば、《Time Walk》が我々にもたらすものを考えていきます。
まずはルールへ立ち返るところから始めましょう。
マジックは各プレイヤーのターン進行に基づいてゲームが展開されます。そして、そのターン進行中にルール上で規定されたアクションや、プレイヤーの裁量で取れるアクションが絡み合って、盤面の有利・不利や勝敗が決まっていくわけです。
では、それらアクションを全て列挙しましょう。

 

  1. すべてのパーマネントを1度だけアンタップする。
  2. カードを1枚だけドローする。
  3. 土地を1枚だけプレイする。
  4. 手札のカードを唱える。
  5. 起動型能力を使う。
  6. 戦闘を1度だけ行う。

 

煎じ詰めると、たったのこれだけです。マジックにおいてターンが指し示すのは、この6つの項目だけなんですね。
しかも、この中で着目すべき項目となると、数は更に絞られます。
実のところ、ターンという概念を理解する上で重要なのは、1, 2, 3 の3項目だけです。なぜなら、4, 5, 6 の3項目は手札の枚数、アンタップ状態のクリーチャー、その他の場に展開したパーマネント、マナソースの枚数など、そのアクションの実行に足るリソースがなければ行うこと自体できず、よって残りの3項目に必ず従属しているからです。
もちろん実戦では後者3項目も重要であり、むしろ如何に相手の唱えたカードや使った起動型能力を無為なものへと追い込み、戦闘で攻撃クリーチャーの指定をスキップさせ、費やしてきたリソースを不意にさせるかが、ターンを稼ぐことそのものと言えます。
しかし、ターンを基本的に構成しているのは、要するにアンタップ1回、ドロー1回、土地のプレイ1回の3つのアクションとなります。つまり、この3アクションが持つ意味こそ、ターンという概念なのです。
このように考えると、一見してターンを稼ぐことには直結しないようなカード群が、むしろターンの一部を丸っと切り取った効果として見えてきます。

 

 

《Ancestral Recall》は、アンタップ・土地のプレイ・戦闘に制限を掛けられた2ターンを得るようなもの。《早摘み/Early Harvest》は、ドロー・土地のプレイ・戦闘に制限を掛けられた1ターンを得るようなもの。《不屈の自然/Rampant Growth》であれば、アンタップ・ドロー・戦闘に制限を掛けられた1ターンを得るようなもの。それぞれが限定的な形でアナタにターンを先行させているわけです。
もちろん、これらで稼いだ疑似的なターンが、実際のゲームの中でターンを稼いだと言える程の成果に繋がるかは別問題となります。ゴブリンの突撃ゲームで《発明者の見習い/Inventor’s Apprentice》1枚が《ゴブリンの突撃/Goblin Assault》をデクに貶めたのと同じく、対戦相手とのやり取りの中で、これらのカードのプレイが意味をなさなくなる瞬間もあるでしょう。
逆に言えば、これらが《Time Walk》に相当する状況を作ることこそ、このゲームで勝つための一歩です。

 

では、話を戻して、アンタップ1回、ドロー1回、土地のプレイ1回という事実は、何を表しているのでしょう?
答えは至って単純。プレイヤーの費やせるリソースは、ターン毎に限界値が定められているということです。
この限界値があるために、自ずと項目4~6に当たるプレイヤーのアクションにも、成果の最大値が存在します。そして、ゲームの勝利がそれら成果の積み重ねの上にある以上は、当然のこととして一定以上のターン数が勝利のために必要となります。
いやいや、フォーマットによっては0ターンキルすらもあるじゃないか?
もちろん、そのようなデッキもあり得ますが、それらすら成立のためにマリガンできる回数という制限があります。マリガンは1回毎に手札が減る行為であるため、実質的にはドロー回数の制限と同じです。初期手札が0枚、7ターン目までカードをプレイできないゲームを思い浮かべれば、やはりマリガンすらもターンという概念に収まることになります。つまりマジックというゲームの本質は、対戦相手よりも早く勝利に必要なターン数を稼ぐことなのです。

 

抽象的な話ばかりを続けるのも飽きてくるので、少し具体的な話をしましょう。
お互いの場にはゲーム開始時から《山/Mountain》1枚が設置されていて、初期手札0枚、初期ライフ3点、お互いのライブラリーは《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》からなりますが、上から3枚目にだけ《稲妻/Lightning Bolt》のあるゲームを想像してみてください。
コイントスの結果、アナタは先攻・後攻の決定権を得ました。いずれを選択しますか?
簡単ですね。ゴブリンの突撃ゲームで1ターン先んじ続けた先攻を選ぶ……と、もちろん確実に負けます。選ぶべきは後攻なのです。
ターンを深く理解した今なら、ここで後攻を選ぶ理由もすぐに分かるでしょう。先攻に与えられる1ターン目というのは真の意味ではターンに当たりません。なぜなら、アンタップするパーマネントはなく、1ドローもできないからです。そして、この「稲妻をアナタにゲーム」で必要なのは、勝利に繋がる《稲妻/Lightning Bolt》をドローすること、すなわち3ターンの経過になります。
先攻の1ターン目が真なる1ターンでないなら、先にターンを過ごすのは後攻のプレイヤーになるため、必然的に後攻が勝つわけです。
では、稲妻をアナタにゲームを少しアレンジして、他の要素も体感してみましょう。
お互いの場に設置されているパーマネントはなく、初期手札は《Volcanic Island》1枚に《Ancestral Recall》1枚という場合を考えます。コイントスの結果、アナタは先攻・後攻の決定権を得ました。いずれを選択しますか?
ご明察。今度は先攻を選ぶのが正解ですね。自分の1ターン目に《Volcanic Island》をプレイし、2ターン目を迎える前に《Ancestral Recall》をプレイしたら、アンタップ、アップキープ、「稲妻をアナタに」とやって勝ちです。
このゲームで焦点となるのは土地のプレイとそのアンタップです。《Ancestral Recall》と《稲妻/Lightning Bolt》の2枚をプレイすれば勝ちなので、それをプレイするために必要な2マナを先に獲得したプレイヤーの勝ちになります。
互いに土地0枚の状態からスタートして、先攻は自分の1ターン目に土地1枚と共に1マナ目を得ます。後攻も自分の1ターン目にそれらを得ますが、先攻は2ターン目にアンタップを経ることで擬似的な2マナ目を得て、勝利条件を達成するわけです。
擬似的なターンである先攻の1ターン目は、このゲームにおいては真のターンである後攻の1ターン目と同じ価値を持ち、よって1ターン先んじた状態にある先手が勝つ。では逆に、使われているカードの種類や枚数は変えず、これを後手が勝つゲームにアレンジし直せないでしょうか?
ターンとは何か。オリジナルの稲妻をアナタにゲームからどのようにアレンジしたか。これらを踏まえれば、答えは自ずと見えてきますね。
オリジナルと同じく、《Volcanic Island》が1枚ゲーム開始時からお互いの場に設置されていれば良いのです。すると、ゲームの焦点はアンタップのみに絞られます。先にアンタップできるのは後手ですから、勝利に必要な2マナ目を先に得るのも後手になり、当然ながら後手の勝ちとなるわけです。

 

このように考えていくと、ターンを稼ぐことが《Time Walk》のプレイそのものである必要のない理由も見えてきます。
そう、プレイしているデッキやマッチアップ毎に、ターンの持つ6つの意味の中で焦点となる内容が変わるのです。オリジナルのゴブリンの突撃ゲームでは、戦闘が1回だけという項目。オリジナルの稲妻をアナタにゲームでは、ドローは1枚だけという項目。稲妻をアナタにゲームの2つ目のアレンジでは、アンタップは1回だけという項目。それぞれ焦点が違うため、先後とも同じ状態でスタートしているのに、先攻が必ず勝つゲームもあれば、後攻が必ず勝つゲームもある。面白いものですね。
しかし、これを単に面白がるだけでなく、実際のゲームに活かしていくのが、本連載の趣旨になります。
勝利を目的とするマジックの黄金律とは何だったでしょう。それはもちろん、自分のアクションを擬似的な《Time Walk》に仕立て上げること、さらに言えば自分のアクションが《Time Walk》何枚分に相当しているかを考え、その枚数を増やしていく工夫のことです。
では、自分のアクションを擬似的な《Time Walk》に仕立て上げるコツは、どのようなものでしょう?
今回の記事から、これはハッキリしました。目の前の1ゲームにおいて、ターンの持つ6つの意味のいずれが焦点になっているか見極めることなのです。

 

たとえば対戦相手がクリーチャー展開を急ぎ、毎ターン戦闘を行うこと(項目6)や、使えるマナの制限のため(項目1および3)に唱えられる手札のカード枚数が限られること(項目4)を焦点にプレイしているなら、こちらは手札が1枚ずつしか増えないこと(項目2)を巡るゲームに持ち込むことで、擬似的な《Time Walk》をプレイしやすくなります。
対戦相手がババーンと展開したクリーチャーを《神の怒り/Wrath of God》で吹き飛ばすことなどは、正にこれを地で行くプレイと言えるでしょう。如何に毎ターンの戦闘で攻撃クリーチャーを指定しても、ライフが1点でも残って手詰まりになるなら、それまでの戦闘は意味を持ちません。どれだけ使えるマナが潤沢でも、手札がゼロ枚なら、何のカードも唱えられません。自慢のクリーチャー陣を展開するために費やしたターンも、それらが全体除去に一掃されて墓地送りとなれば、ただターンをパスしていたのと変わりません。このような場面で《神の怒り/Wrath of God》は何枚分もの《Time Walk》に当たるわけです。
逆の立場で考えるなら、対戦相手が項目2を巡るゲームに持ち込もうとしているときは、こちらも項目2を頭に入れてゲームを組み立てることが肝要になります。
簡単なところでは、ほどほどの数のクリーチャーを展開したら残りの手札を温存し、相手の動きを待つことが考えられます。手札がゼロ枚であるために、何もせずターンをパスすること(相手に《Time Walk》をプレイされたに等しい状態)は、こうすることで避けられるでしょう。《神の怒り/Wrath of God》をプレイされるたびに、後続のクリーチャーを展開して、項目1および3をゲームの焦点として維持するのです。
ほかに直接ライフが叩ける火力呪文のようなカードを、新たな脅威として用意するのも良いでしょう。これは対戦相手のライフを減らし続けることで、擬似的に戦闘を行っているかのような状態にし、項目6をゲームの焦点として維持する手法になります。
マナ・ディナイアル戦略やカウンター呪文のプレイでもって、全体除去のプレイを頓挫させる手もあります。項目1、3、4を巡るゲームに対戦相手を巻き込むわけです。
斯くの如く方法は多岐に渡りますが、対戦相手の《神の怒り/Wrath of God》をプレイングやデッキ構築でデクに貶めることはできます。
すなわち、対戦相手が《神の怒り/Wrath of God》を唱えるターンはパスに等しく、それまでの自分のアクションは擬似的な《Time Walk》だと言えるわけです。

 

さて、このあたりで今回の話をまとめます。
マジックのゲームに勝つ秘訣は、自分のアクションをたくさんの擬似的な《Time Walk》に仕立て上げることです。そして、擬似的な《Time Walk》を作り出すには――

 

ターンの持つ6つの意味のうち焦点となるものを見付ける

 

必要があります。自分の狙いを維持するのか、相手の狙いを挫くのか、手段はとりあえず置いておくとして、大切なのは焦点を見極めることです。
実のところ、マジックの上達にリミテッドが勧められるのは、この焦点の見極めが非常に難しいからでもあります。
構築フォーマットと異なり、リミテッドで用いられるデッキは採用するカードの一貫性を保ち辛く、同じデッキをプレイしているにも関わらず、ゲーム毎に焦点とすべき項目が変わってしまうのです。
もちろん、できるだけ採用カードに一貫性を持たせるドラフトや構築の能力も求められます。
しかし、それ以前の問題として、目の前で展開されるゲームにおいて何を狙いとしてプレイするのが効率的なのか、または何を相手の狙いとして挫かなければならないのか、という構築であれば悩むまでもないことの多い問いが我々の前に立ち塞がり、しかも答えは時と場合で変わるわけです。
さながらスフィンクスの謎掛け。「足無くて立ち、曲無くて舞い、刃無くて切り、生無くて死すものは何か?」容易に解き明かせるものではありません。
疾風に勁草を知る。この難題も、強くなるための試練ですね。
とは言え、一般的な傾向を掴むぐらいなら、そこまで難しくはないでしょう。
まずは基本から一歩ずつ。

次回、デッキ構築いろは歌の巻。
素敵なひとときを、ご一緒しましょう。